今月は少し専門的な論点であるアパマン建築と消費税の取り扱いについて触れたいと思います。消費税⾃体が歪な法律になっているのでそもそも分かりにくいのですがアパマン界隈はさらに複雑になっています。消費税とアパート建築と言えば我々の業界では消費税還付スキームをめぐるいたちごっこです。詳細は上図や2020/3 号をご参照ください。結論として現状では「居住用賃貸建物」に該当すると消費税還付は受けられないことになっており、その後3年間の間に課税売上(=事務所店舗貸し)に転用したり売却したりした場合に初めて建築に係る消費税の控除(還付)を受けられることになっています。この居住用賃貸建物とは、「住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物(附属設備含む)以外の建物(高額特定資産等に該当するものに限る)」と定義されています。税法特有の分かりにくい書き方ですが、要約すると①建物全てが店舗等②ホテル等③業者の転売目的不動産で住宅家賃が発生しないもの、以外の1000万円以上の建物を言いますので、アパート系はほぼ居住用賃貸建物に該当し少なくとも一旦は消費税控除が取れません。逆に言うと、上記3つに該当する場合や1000 万円未満のアパートであれば居住用賃貸建物にならない=控除対象になり得ますが、そもそも住宅家賃収⼊=非課税売上のために⽀払った消費税は原則控除できませんので上図の⾃販機スキームなどを使わない限り結果は同じという点に注意が必要です。また、店舗ありの混合物件の場合は居住用賃貸建物に該当しますが、面積割等をして算出した店舗部分については控除することが可能となっています。そして、前述したとおり3 年の間に転用した場合や売却した場合、それまでの賃貸収⼊と売却⾦額を基に控除額を調整計算することになります。これほど複雑になってしまうのはやはり消費税そのものが歪である故でしょう。