今月は2024 年12 月20 日に発表された2025 年度税制改正⼤綱の内容について解説します。今年の改正は特に不動産、相続関係の内容はほぼ無し、と言っていいほど特筆すべきものは何もありませんでした。元々延⻑予定であった住宅ローン控除の⼦育て特例や40 ㎡以上50 ㎡未満の住宅について適用対象とする措置が無事そのまま延⻑されたというくらいで、あとは全くと言っていいほど項目がありませんでした。過去一番と言っていいくらい、税制改正⼤綱の「土地税制」のページが薄かったです(笑)。相続税関連でも事業承継税制が多少要件緩和されたのと、誰も使っていない結婚⼦育て資⾦贈与がなぜか延⻑された、というくらいです。そして、世間的に最も注目が高かった「103 万円の壁」解消のための基礎控除と給与所得控除の改正については事前情報のとおりショボい内容となりました。具体的な内容として、基礎控除を10 万円増額し、給与所得控除については最低保障額を55 万円から65万円に10 万円増額させるというものです。これも減税が⼤嫌いな財務省の罠が潜んでいまして、基礎控除については所得2,350 万円超の人は効果なしで、給与所得控除にいたっては全員の控除額を10 万円上げる訳ではなく最低額を10 万円上げるだけ、つまり年収103 万円から190 万円程度の人にしか恩恵はありません。児童手当拡⼤による扶養控除縮減という最悪の改正案はさすがに頓挫したようですが、反対意⾒も多そうな法⼈税の防衛増税はきっちり⼤綱に載せてきました。所得税の防衛増税は頓挫していますが、元々復興税を割り当てるだけなので増税でも減税でもなく±0 ですから、正直どちらでもよかったのでしょう。ただ今回は少数与党ですから、例年どおりこの⼤綱案がそのまま法案化されるか、要注目ですね。